慢性疲労は脳の炎症が原因?
- 養生気功 樹会

- 5 日前
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はじめに:その疲れ、ただの「寝不足」ではありません
「しっかり寝たはずなのに、朝から体が鉛のように重い」
「昔は気にならなかった些細なことで、すぐにイライラしてしまう」
「仕事中、霧がかかったように集中力が続かない」
実はこれらの症状は、肉体的な疲れではなく、「脳の慢性的な炎症」によって引き起こされている可能性が高いことが、近年の脳科学で明らかになってきました。
1. 脳の炎症と「神経伝達物質」の関係
脳疲労とは、単に頭を使いすぎた状態ではありません。医学的には「脳内の神経細胞に微細な炎症が起きている状態」を指します。
私たちがストレスや過多な情報にさらされ続けると、脳内で「サイトカイン」という炎症物質が増加します。この炎症が、私たちの感情や意欲を司る重要な神経伝達物質の働きを阻害してしまうのです。
① 幸せホルモン「セロトニン」の枯渇
脳に炎症が起きると、精神の安定や安心感をもたらす「セロトニン」の合成が妨げられます。
~症状~
理由のない不安、イライラ、うつ気分、不眠。セロトニンが不足すると、脳は痛みを抑制できなくなるため、「身体のあちこちが痛い・重い」という感覚も強くなります。
② 癒やしのホルモン「オキシトシン」の低下
他者との繋がりや幸福感を感じる「オキシトシン」の分泌も、ストレスによる脳炎症で抑制されます。
~症状~
孤独感、コミュニケーションの億劫さ、回復力の低下。
つまり、「疲れが取れない」のは、脳の炎症によってセロトニンやオキシトシンといった「回復・幸福のための物質」が枯渇してしまっている緊急事態なのです。
2. 脳の炎症を治める「3つの基礎」
この脳の火事(炎症)を消火するためには、まず生活習慣の基礎を見直す必要があります。一般的に推奨されるのは以下の3点です。
・睡眠(脳の洗浄)
睡眠中、脳脊髄液が脳の老廃物(アミロイドβなど)を洗い流します。7時間程度の質の高い睡眠は、物理的な洗浄タイムです。
・食事(抗酸化)
酸化ストレスを防ぐため、ビタミンC・E、ポリフェノール、良質なタンパク質(アミノ酸はセロトニンの原料)を摂取します。
・運動(血流改善)
適度な運動は血流を促し、セロトニンの分泌を助けます。
これらは養生法そのものであり、非常に大切です。
しかし、なかなか実践できないという方が多いのも現実です。
脳疲労が慢性化している場合、生活習慣を変えるというのも脳は億劫に感じてしまうからです。
3. 当院の強み:脳にアプローチする「鍼灸治療」と「瞑想法指導」
自力では生活習慣の改善も難しいと感じられる方に、お勧めなのが、「鍼灸治療」です。
また、当院では、気功教室において瞑想法を指導しています。
瞑想法は、「頭の中のお喋り」を止める効果があり、脳内の老廃物である不要なタンパク質を脳脊髄液により流す作用を高めます。
<鍼灸治療が「脳炎症」に効く理由>
・抗炎症作用の促進
鍼刺激が脳内の一部(視床下部など)に作用することで、過度に活性化した免疫を担当する細胞の活動を抑制し、炎症性サイトカインの放出を抑えることが示唆されています。
・血流改善とセロトニン活性化
頭部や首の緊張を緩めることで、脳の血流が改善し、セロトニン、オキシトシンなどの神経伝達物質がスムーズに働く環境を整えます。
・リラックス効果
鍼刺激は自律神経に働きかけ、交感神経の興奮を鎮め、副交感神経優位の状態を作り出します。脳が「休んでもいいんだ」と深く理解する瞬間です。
【セルフケア】脳を整える呼吸法「数息観(すそくかん)」
数息観は、息を数えることで集中とリラックス状態を作り出すことができる瞑想法のひとつです。これにより、脳の興奮状態を鎮め炎症を抑えることに繋がります。
<実践方法>
座法: 椅子または床に座り(安座、正座など)背筋を伸ばして肩の力を抜きます。
呼気: 口から、細く長く息を吐き出します。
数える: 息を吐きながら、「ひと~つ」と数えます。
おすすめは、声に出して数える方法ですが、心の中で数えても構いません。
吸気: 自然に鼻から空気が入ってくるのを待ちます(無理に吸わない)。
反復: 次の吐く息で「ふた~つ」…と続け、10まで数えたらまた1に戻ります。
時間:最初は、5分程度から始めます。
ポイント:単純な数字のカウントと呼吸のリズムに注意を向けることで、脳の大脳皮質の活動(雑念・イライラ)を鎮静化させ、セロトニンの分泌を促します。

4. 脳を「メンテナンス」する生活を始めませんか?
寝ても疲れが取れない方は、脳の炎症が慢性化し、セロトニンやオキシトシンがうまく働けない状態にあるかもしれません。
そんな時は、是非「鍼灸治療」を試してみて下さい。
また、セルフメンテナンスとして、瞑想法を取り入れて頂くと相乗効果に繋がります。




