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お灸が“免疫機能”を整える?ノーベル賞研究とつながる、温めるチカラの秘密

〜「お灸で免疫のバランスが整う」って、本当?〜


肩こりや冷えをやわらげるイメージが強いお灸。

でも、最近では「お灸が免疫のバランスを整えるかもしれない」という研究結果も出ています。


この度、ノーベル生理学・医学賞を受賞された坂口志文先生が発見した「制御性T細胞(Tレグ細胞)」は、免疫の“ブレーキ”の役割を持つ細胞です。


このTレグ細胞の働きと、お灸がもたらす「穏やかな温熱刺激」。一見関係なさそうですが、実はこの2つ、「体の炎症を抑え、整える」という点で深くつながっているかもしれないのです。


〜お灸の温かさが、「自己修復スイッチ」を押す〜


お灸の熱をツボに伝えると、皮膚や筋肉の中ではごく小さな刺激(軽い炎症)が起こります。

「えっ、炎症って悪いことじゃないの?」

と思うかもしれませんが、実はこの軽い刺激こそが、体を整えるスイッチになるのです。


熱を感じた皮膚では「TRPチャネル」という温度センサーが反応し、血流が良くなったり、神経や免疫の働きが穏やかに整ったりします。

つまり、体の自己修復システムが自然に動き出すのです。


〜 お灸で炎症がやわらぐ? マウス実験での発見〜


お灸のこうした働きを科学的に確かめようと、鍼灸師で医学博士の 三村直巳先生 が行ったマウス実験があります。

この研究では、関節炎(リウマチのような炎症)を起こすマウスにお灸を行ったところ、


・関節の腫れや炎症が軽くなり、発症率が下がった

・炎症を強める物質(IL-6)が減少した

・免疫を落ち着かせるTレグ細胞の割合が増えた


という結果が報告されました。

つまり、お灸によって「自身で炎症を鎮める力」が高まったのです。


〜ノーベル賞受賞が教えてくれた、免疫のバランスの大切さ〜


坂口志文先生が見つけた 「Tレグ細胞」は、免疫細胞の過剰反応を抑える細胞です。

たとえば、免疫が強くなりすぎると、花粉症やアレルギー、自己免疫疾患(自分の体を攻撃してしまう病気)を引き起こします。

逆に弱すぎると、感染症にかかりやすくなってしまう。


私たちの体はこの「強すぎず、弱すぎず」のバランスが大切で、Tレグ細胞はその舵取り役です。


そして、お灸が体に与える「ほどよい刺激」は、このバランスをサポートしているのかもしれません。

お灸の温熱作用が免疫のブレーキを上手に使える体づくりにつながっている可能性が見えてきました。


〜 忙しい毎日に、温める時間を〜


お灸をしていると、体の奥からじんわりと温かさが広がり、自然と呼吸がゆっくりになります。この「ほっとする感覚」こそが、自律神経系が整っていく合図です。


現代人は、冷えやストレス、緊張で常にアクセルを踏みっぱなしになっていることが多くなりました。

だからこそ、ブレーキ役のTレグ細胞をうまく働かせるような「休む力」を取り戻すことが大切です。

お灸は、そのきっかけをくれるやさしい習慣です。

〜自宅でできるお灸のすすめ〜


当院は、「せんねん灸セルフケアサポーター」認定院です。

お灸教室は、お一人様から随時、実施しております。

ツボと呼ばれている経穴は、いつも同じ場所にある訳ではありません。

その時の身体の状態によって微妙に場所が変わります。

教室では「ツボの探し方」をお伝えしています。


~おすすめのツボ~


足三里


NHK等でも東洋医学をテーマにした番組が放映され、特に「足三里」の効果について、取り上げられるようになりました。

足三里は、胃腸の調子を整えることで有名なツボです。

足三里に鍼やお灸をすると、「体制-自律神経反射」という反射が起き、副交感神経を介して内臓に作用し、胃腸の調子を整えてくれます。



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おわりに〜


疲れた日、なんとなく調子が上がらない日、そんな時こそ「温める時間」を少しだけ持ってみてください。

その小さなぬくもりが、あなたの中の“治る力”を静かに呼び覚ましてくれるはずです。


🌿 参考

* 坂口志文:「制御性T細胞(Treg)の発見と免疫制御のメカニズム」京都大学プレスリリース(2025)

* 三村直巳ほか:「お灸刺激による関節炎モデルマウスでの免疫変化」日本鍼灸科学会資料(2024)



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お灸教室は、こちら

 
 
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