東洋医学で読み解く「津液の病」セルフチェック
- 養生気功 樹会

- 9月9日
- 読了時間: 4分

はじめに
東洋医学では、人の身体を流れる「気・血・津液」が健康を支える三本柱とされています。この中で「津液(しんえき)」とは、体内のあらゆる水分の総称で、血液以外の体液(水分)を指します。汗・涙・唾液・鼻水・関節の潤いなども含まれ、体を潤し、代謝や体温調整を助ける重要な存在です。
しかし、この津液のバランスが乱れると、乾燥やむくみ、痰の停滞など、さまざまな不調が現れます。
今回は、津液の病症について解説し、セルフチェックシートでご自身の体質を確認できるようにしました。
津液の主な病症
1. 津液不足(しんえきぶそく)
体を潤す津液が足りない状態。乾燥傾向の症状が出やすい。
2. 痰飲(たんいん)
体内に津液が停滞し、余分な水分がたまった状態。痰・むくみ・めまいなどが起こる。
3. 水腫(すいしゅ)
むくみが強く、全身や局所に水分が偏る病態。
4. 小便不利(しょうべんふり)
尿の出が悪い、頻尿、排尿困難など。腎や膀胱の津液代謝障害。
【津液不足タイプ】
~乾きやほてりが気になる方へ~
✅ セルフチェック
□ のどが乾きやすく、水分を頻繁に欲する
□ 皮膚が乾燥してかゆみが出る
□ 目が乾いてショボショボする
□ 唇や口の中が乾燥しやすい
□ 髪の毛がパサつき、ツヤがない
□ 微熱やほてりを感じることがある
□ 寝汗をかきやすい
※ 3つ以上当てはまる方は、津液を養うケアを意識しましょう。
🌱 養生法
白きくらげ、百合根、梨、豆腐などの潤す食材を摂る
夜更かしを避け、陰を養う睡眠を確保
激しい運動よりも、ゆったりとした気功やストレッチがおすすめ
湯船につかることで、皮膚の潤いを保つ
【痰飲タイプ】
~重だるさや違和感がある方へ~
✅ セルフチェック
□ 胃の中がチャポチャポして不快感がある
□ 痰が多く、のどに絡みやすい
□ 頭が重く、めまいやふらつきがある
□ 体が重だるく、動きたくない感じがする
□ 舌に白く厚い苔がついている
□ 食後に眠気が強くなる
□ 湿気の多い日に体調が悪くなる
※ 痰湿タイプの方は、脾胃の働きを整え、巡りを良くするケアが効果的です。
🌱 養生法
生姜、はと麦、陳皮、山椒などの巡りを促す食材を活用
冷たい飲食物を控え、常温以上のものを選ぶ
軽い運動で汗をかき、湿を排出
湿度の高い日は除湿器や風通しを意識
【水腫タイプ】
~むくみや冷えが気になる方へ~
✅ セルフチェック
□ 顔や手足がむくみやすい
□ おしっこの量が少なく、出にくい
□ 体が冷えやすく、特に下半身が冷える
□ 関節が腫れぼったく、動かしづらい
□ 朝起きたときにまぶたが腫れている
□ 舌がぽってりして、歯型がついている
※ 雨の日や湿度の高い日に体調が悪くなる水腫タイプの方は、腎の温めや水分代謝の促進がポイントです。
🌱 養生法
黒豆、山芋、栗、えびなど腎を補う食材を摂る
足湯や温灸で下半身を温める
水分はこまめに少量ずつ摂る
早寝早起きで腎のリズムを整える
~おすすめのツボ~
・津液不足タイプ
陰陵泉(いんりょうせん)
・痰飲タイプ
豊隆(ほうりゅう)
・水腫タイプ
三陰交(さんいんこう)

「津液」を現代医学で例えると?
津液もなかなか分かりずらい概念ですが、現代医学で例えてみると、以下のようになります。

鍼灸や気功法が効果的な理由
鍼灸は、経絡(けいらく)というエネルギーの通り道に刺激を与えることで、気血津液の流れを調整します。津液の病に対しては、以下のような作用が期待できます。
• 経絡の通暢化
→津液の停滞を解消し、むくみや痰の排出を促進
• 脾胃の強化
→津液の生成源である脾胃の機能を高め、体液の質と量を改善
• 腎の補養
→津液の根本である腎の働きを補い、乾燥症状を緩和
たとえば、足三里・陰陵泉・三陰交などのツボは、津液の生成と排出に深く関与しており、施術により即時的な軽快感を得られることもあります。
気功は、意識や呼吸の調整を通じて「気」の流れを整える養生法です。津液の病に対しては、以下のような効果が見込まれます:
• 気の巡りを促進
→気が動けば津液も動く。気滞が解消されることで、体液の停滞が改善
• 自律神経の調整
→交感神経の興奮を治め、唾液や涙などの分泌を促進
• 内臓機能の活性化
→腹式呼吸により脾胃・腎の働きが高まり、津液の生成力が向上
~まとめ~
津液の病は、ただの水分不足ではなく「潤いの質と巡りの乱れ」。ご自身のタイプを知ることで、より的確なセルフケアが可能になります。
自然のリズムに寄り添いながら、今日からできる養生を始めてみませんか?




