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東洋医学で読み解く「津液の病」セルフチェック

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はじめに

東洋医学では、人の身体を流れる「気・血・津液」が健康を支える三本柱とされています。この中で「津液(しんえき)」とは、体内のあらゆる水分の総称で、血液以外の体液(水分)を指します。汗・涙・唾液・鼻水・関節の潤いなども含まれ、体を潤し、代謝や体温調整を助ける重要な存在です。

しかし、この津液のバランスが乱れると、乾燥やむくみ、痰の停滞など、さまざまな不調が現れます。

今回は、津液の病症について解説し、セルフチェックシートでご自身の体質を確認できるようにしました。


津液の主な病症


1. 津液不足(しんえきぶそく)

体を潤す津液が足りない状態。乾燥傾向の症状が出やすい。


2. 痰飲(たんいん)

体内に津液が停滞し、余分な水分がたまった状態。痰・むくみ・めまいなどが起こる。


3. 水腫(すいしゅ)

むくみが強く、全身や局所に水分が偏る病態。


4. 小便不利(しょうべんふり)

尿の出が悪い、頻尿、排尿困難など。腎や膀胱の津液代謝障害。


【津液不足タイプ】

~乾きやほてりが気になる方へ~


✅ セルフチェック

□ のどが乾きやすく、水分を頻繁に欲する

□ 皮膚が乾燥してかゆみが出る

□ 目が乾いてショボショボする

□ 唇や口の中が乾燥しやすい

□ 髪の毛がパサつき、ツヤがない

□ 微熱やほてりを感じることがある

□ 寝汗をかきやすい

※ 3つ以上当てはまる方は、津液を養うケアを意識しましょう。


🌱 養生法

  • 白きくらげ、百合根、梨、豆腐などの潤す食材を摂る

  • 夜更かしを避け、陰を養う睡眠を確保

  • 激しい運動よりも、ゆったりとした気功やストレッチがおすすめ

  • 湯船につかることで、皮膚の潤いを保つ


【痰飲タイプ】

~重だるさや違和感がある方へ~


✅ セルフチェック

□ 胃の中がチャポチャポして不快感がある

□ 痰が多く、のどに絡みやすい

□ 頭が重く、めまいやふらつきがある

□ 体が重だるく、動きたくない感じがする

□ 舌に白く厚い苔がついている

□ 食後に眠気が強くなる

□ 湿気の多い日に体調が悪くなる

※ 痰湿タイプの方は、脾胃の働きを整え、巡りを良くするケアが効果的です。


🌱 養生法

生姜、はと麦、陳皮、山椒などの巡りを促す食材を活用

冷たい飲食物を控え、常温以上のものを選ぶ

軽い運動で汗をかき、湿を排出

湿度の高い日は除湿器や風通しを意識


【水腫タイプ】

~むくみや冷えが気になる方へ~


✅ セルフチェック

□ 顔や手足がむくみやすい

□ おしっこの量が少なく、出にくい

□ 体が冷えやすく、特に下半身が冷える

□ 関節が腫れぼったく、動かしづらい

□ 朝起きたときにまぶたが腫れている

□ 舌がぽってりして、歯型がついている

※ 雨の日や湿度の高い日に体調が悪くなる水腫タイプの方は、腎の温めや水分代謝の促進がポイントです。


🌱 養生法

  • 黒豆、山芋、栗、えびなど腎を補う食材を摂る

  • 足湯や温灸で下半身を温める

  • 水分はこまめに少量ずつ摂る

  • 早寝早起きで腎のリズムを整える


~おすすめのツボ~

・津液不足タイプ

  陰陵泉(いんりょうせん)

・痰飲タイプ  

  豊隆(ほうりゅう)

・水腫タイプ  

  三陰交(さんいんこう)


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「津液」を現代医学で例えると?

津液もなかなか分かりずらい概念ですが、現代医学で例えてみると、以下のようになります。

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鍼灸や気功法が効果的な理由

鍼灸は、経絡(けいらく)というエネルギーの通り道に刺激を与えることで、気血津液の流れを調整します。津液の病に対しては、以下のような作用が期待できます。


• 経絡の通暢化

→津液の停滞を解消し、むくみや痰の排出を促進

• 脾胃の強化

→津液の生成源である脾胃の機能を高め、体液の質と量を改善

• 腎の補養

→津液の根本である腎の働きを補い、乾燥症状を緩和


たとえば、足三里・陰陵泉・三陰交などのツボは、津液の生成と排出に深く関与しており、施術により即時的な軽快感を得られることもあります。


気功は、意識や呼吸の調整を通じて「気」の流れを整える養生法です。津液の病に対しては、以下のような効果が見込まれます:


• 気の巡りを促進

→気が動けば津液も動く。気滞が解消されることで、体液の停滞が改善

• 自律神経の調整

→交感神経の興奮を治め、唾液や涙などの分泌を促進

• 内臓機能の活性化

→腹式呼吸により脾胃・腎の働きが高まり、津液の生成力が向上


~まとめ~

津液の病は、ただの水分不足ではなく「潤いの質と巡りの乱れ」。ご自身のタイプを知ることで、より的確なセルフケアが可能になります。

自然のリズムに寄り添いながら、今日からできる養生を始めてみませんか?

 
 
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