鍼灸治療について
近年の研究では、鍼灸の効果について鍼灸施術により身体の一部を刺激すると、中枢神経の中にモルヒネのような役割をもったホルモン(内因性オピオイド)が放出されることが解りました。
また、鍼灸刺激は神経を刺激して血行を促進し、痛みや疲労の原因となる物質を老廃物として排出する作用も持っています。鍼灸刺激は自律神経に効果的に作用し、胃腸や心臓・血管などに作用しその働きを調節します。最近では、ヒトの持つ免疫力を賦活させる働きについても様々な研究がなされ、まだ解明されていない鍼灸の効果も期待されています。
1997 年には、NIH( アメリカ国立衛生研究所) から、鍼灸療法の病気に対する効果とその科学的根拠を認める見解が発表され、WHO( 世界保健機関) でも、様々な症状や疾患について、鍼灸療法の効果や有効性を認めています。
自律神経失調症症状について
一般的に、自律神経失調症とは、ストレスなどが原因で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れて出る様々な症状であるとされています。
神経は「中枢神経」(脳と脊髄)と末梢神経」に分けられます。
さらに、末梢神経は「体制神経」と「自律神経」に分けられます。
自立神経は、意思とは関係なく刺激に対して、身体の機能を調整しています。
いわば、オートメーションで日夜働いてくれている働きものです。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2つに分かれ、主として交感神経は身体を活発に動かす働き、副交感神経は
身体を休めるときに働き、よくアクセルとブレーキの関係に例えられます。
この2つの神経は、互いにバランスを取り身体の状態が正常に働くように働きますが、このバランスが崩れると倦怠感、不眠、胃腸障害、冷え、不安感などの様々な症状を引き起こしてしまいます。
自立神経のバランスが崩れる要因としては、ストレスやホルモンの乱れ(更年期障害)等が挙げられています。
治療法としては、一般的にホルモン剤などによる対症療法や睡眠の周期を整える行動療法などがありますが、ストレスのコントロールと生活習慣の改善(規則的な睡眠と食事)が大切であるとされています。
鍼灸治療は、まだ解明されていない部分も多いものの、自立神経に効果的に働き、交感神経と副交感神経のバランスを調節するのにとても有効です。
「鍼を刺すのは怖い」というイメージをお持ちの方もおられるかも知れませんが、当院では、できだけ低刺激の心地の良い治療を心掛けており、治療を受けられた方からは、「ほとんど寝てました」というご感想を頂くことが大半です。
また、薬を服用しているため、鍼が刺せないという方のために「鍉鍼(ていしん)」という刺さない鍼やお灸を中心にした治療を実施してきましたが、刺さない鍼のみを使用した鍼リラクぜーションを新たにメニューに加えました。
てい鍼での治療は、鍼を刺さないため低刺激ですが、気功療法同様に経絡に流れる気を動かし、経絡を疎通させ、交感神経の昂りを抑えることが出来ます。そのため、うつ傾向、気持ちの浮き沈み等「心のケア」に効果が期待できる施術と言えます。