「気の病」セルフチェック
- 養生気功 樹会
- 7月3日
- 読了時間: 4分

◆ 東洋医学における「気」の分類(専門的解説)
東洋医学でいう「気」は、生命を維持する根本的なエネルギーで、体内を循環し、臓腑の働きの調整、身体の防御、温める作用などを担います。
主に以下のように分類されます。
1. 元気(げんき)
・ 腎に貯えられた「先天の精」から生じる先天的なエネルギー
・人の生命力の根本、成長や発育に深く関わる
2. 営気(えいき)
・飲食物から得た栄養物質で、血液の構成要素となり、全身を滋養
3. 衛気(えき)
・体表を保護し、外邪(風邪・寒邪など)の侵入を防ぐ
・体温調節、皮膚の開閉を司る
4.宗気(そうき)
・肺の呼吸作用と脾が作り出す水穀の精微から生成
・呼吸、発声、血液循環の推進に関与
これらの「気」が充実し、流れが滞りなく働くことで、心身の健康が保たれます。
しかし、過労・ストレス・体質などで失調すると、さまざまな病態を引き起こします。
~ 気の病セルフチェックシート~
下記の各項目にチェックを入れてください。
該当項目が多いほど、そのタイプの「気」の失調の可能性が高まります。
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✅ 気虚チェック
□ 疲れやすく、休んでもなかなか回復しない
□ 声が弱々しく、よく枯れる
□ 少し動いただけで息切れする
□ 動いていなくても自然に汗が出る
□ 集中力が続かない
□ よく下痢する
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✅ 気陥チェック
□ 胃が下がったような感じがする
□ 立ちくらみをよく起こす
□ 頻尿や尿漏れが気になる
□ 慢性的にだるい
□ 頭が重い スッキリしない
□ 落ち込みやすい
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✅ 気滞チェック
□ 胸や脇が張る感じがある
□ ため息が多い
□ 喉に何か詰まった感じがする
□ イライラしやすい
□ お腹が張る、ゲップが多い
□ 生理不順や生理痛が強い(女性)
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✅気逆チェック
□ のぼせやすい
□ 急に咳が出る、息苦しい
□ 吐き気や嘔吐が出やすい
□ めまいがする
□ 頭痛が多い
□ 怒ると顔が赤くなる
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~結果の目安(各項目ごと)~
2個以下 → 軽度の傾向
3〜4個 → 中等度。生活改善を意識
5個以上 → 強い偏りあり。専門家(漢方医、鍼灸師など)への相談をおすすめ
◆ 各気の病の解説
以下で、それぞれの「気」の病態を解説します。
【1】 気虚(ききょ)
意味
気の量が不足し、体全体のエネルギーが足りない状態。臓腑の機能が低下しやすい。
典型的な症状
・疲れやすい
・声が小さい・弱い
・息切れ
・自汗(動かなくても汗が出る)
・集中力低下
・下痢しやすい
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【2】 気陥(きかん)
意味
気の持ち上げる力(昇提作用)が弱まり、内臓や体の組織が下垂する状態。
典型的な症状
・内臓下垂(胃下垂、子宮下垂など)
・慢性的疲労感
・頻尿
・立ちくらみ
・頭重感
・気分の落ち込み
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【3】 気滞(きたい)
意味
気の流れが滞り、気が鬱積してしまう状態。特に情志(感情)の乱れが原因になりやすい。
典型的な症状
・胸や脇の張り
・ため息が多い
・喉の詰まり感
・イライラ、怒りっぽい
・消化不良や腹部膨満感
・月経不順
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【4】 気逆(きぎゃく)
意味
気が本来とは逆方向に動く状態。特に上昇しすぎることが多い。
典型的な症状
・のぼせ
・せき込み、喘息
・吐き気、嘔吐
・頭痛、めまい
・怒ると顔が赤くなる
◆ 気の病に対する対処
気虚・気陥は、気が足りていないため、休息、食養が必要です。
一方、気滞・気逆は、基本的には、気の滞りが原因になっているので、運動などで発散することが基本になります。
鍼灸気功法や呼吸法の有効性
「気」の病は、気の量不足(気虚)、気の下降(気陥)、気の停滞(気滞)、気の逆行(気逆)といった気の変調や流れの問題が根本にあります。
鍼灸は、経絡(気の通り道)や経穴(ツボ)を刺激することで、
・滞った気を巡らせる(気滞・気逆)
・弱った気を補う(気虚・気陥)
・気の昇降や出入を調整する
といった作用があり、気の調整に極めて有効です。
個々の体質や病態に合わせたオーダーメイド治療ができるのも大きな特長です。
また、気功法・呼吸法も非常に効果的です。
気功法は、「調身・調息・調心」という3つの調節により、
・気の流れを整える
・気の充実を高める
・情志(心の動き)を安定させる
といった作用があります。
特に現代人に多いストレス由来の気滞には、気功や呼吸法が心身両面に良い効果をもたらします。
当院では、鍼灸治療の依存ではなく、「活用」を推進しています。
気功法などのセルフケアは普段から行って頂き、心身の不調を感じた時や定期メンテナンスとして鍼灸治療を活用して頂くと相乗効果を得られます。
気功法教室の他、お灸教室などのセルフメンテナンスの教室も実施しておりますので、これを機に是非参加してみて下さい。