病膏肓に入る(やまいこうこうにいる)という故事があります。
「膏」は心臓の下の部分
「肓」は横隔膜の上の部分
を表す。
この部分には薬も鍼も届かないので、治療が困難な場所であり、そこに病が入り込むと「病気がひどくなり、治療しようもない状態となる」という意味です。
そこから転じて、熱中しすぎて抜け出せなくなることの例えとして使われますが、実は、背中に「膏肓」という経穴があります。
このツボは、万病に効くツボと言われており、千金方という古代中国の医学書には、適応症として、ざっと
吐血、血痰、長引く咳、肺結核
脾胃が弱い
手足がだるい、倦怠感
喘息、気管支炎、肺炎、
胸膜炎
ED
慢性胃炎
胃の出血
慢性疲労症候群
自律神経失調
乳腺炎
てんかん
忘れ物が多い
首肩と背中が痛い
背中の膿・出来物
不眠症・夢が多い
滋養強壮効果がる
などが挙げられています。
「慢性の肩こり」にもお灸を使うとよく効くツボです。
肩こりが起こるには、それなりの理由があります。
心筋梗塞など重篤な病気がある場合を除くとして、肩こりには、骨格の構造的問題が深く関係しています。
「猫背に気をつけなさい」とか「姿勢を正しなさい」と言われた経験のある人は多いと思いますが、端的にいうと正しい姿勢を保ち、脊椎の可動性が維持されていると肩こりや腰痛は起こりません。
背骨の生理湾曲がきちんと保たれていると、身体の重さは、真っすぐに落ちて「骨で立つ」ことができます。
しかし、姿勢が悪いと重さは身体の軸を外れて落ちる、つまり、真っすぐに落ちてくれないので、筋を使って骨を引っ張ることになります。
重心がズレていても、脳がそれを修正してバランスを取るように筋に指示が出されるので、自分ではあまり気にならなくなります。
それがいわゆる身体の癖なのですが、やっかいなことに癖は自分ではなかなか気づくことが出来ません。
身体の癖は、そこからどんどんと波及していき、結果的に背骨の可動性が悪くなります。
そうすると、肩、股関節にも負担がかかり、さらに足首、手首へと負担が波及していきます。
気功法や武術には、この癖を修正していくためのメソッドが確立されており、現代のスポーツ理論と合わせてみても、重なる部分がとても多くあります。
そのうちの一つに、
肩甲骨の使い方
があります。
ここでは、解剖的な話を詳しくは出来ませんが、結論は、腕は肩甲骨から使うということを意識してください。
肩甲骨を動かすことで、肩甲帯に付いている筋の血流をよくします。
「膏肓」は、肩甲骨内縁にあるツボなので、ここの凝りがなくなると病を防ぐことに繋がります。
チーターのような肩甲骨の動きをイメージすると分かりやすいです。
肩甲骨のトレーニングは、沢山ありますが、簡単に取り組める方法としては
・後ろ手合掌
・肩甲骨まわし
がお勧めです。
肩の障害等がないことを前提に行って下さい。
【後ろ手合掌】
背中に手をまわし、合掌し、そのまま大股で歩きます。
胸を張り、姿勢を良くして地面に足が付いた際、口から息を吐きます。
その際の振動が肩甲骨周辺に伝わるのを感じながら歩きます。
【肩甲骨まわし】
手の指先を肩峰につけ、指を離さないように大きく肘を後に回します。肘が上がった時に息を吸い、下す時に吐きます。
コメント